「正法眼蔵」解説 皮肉骨髄 顧問 余語 道廣(亀山市関町瑞光寺住職)
達磨大使は、ひと通りの修行を終えた道副・尼総持・道育・慧可の四人の弟子に対して、各々自己の見識を呈示することを命じました。慧可以外の三名の弟子は、各々自己の見解(けんげ)を述べましたが慧可は沈黙をしたまま、達磨大使の前で、ただ五体投地の三拝をしただけで、そのまま自位に戻ったのであります。大使は四人の弟子に、それぞれ順次に「吾が皮・肉・骨・髄を得た」ことを告げ、結果、達磨の「髄」を得た慧可が中国の第二祖となったのであります。道元禅師は『眼蔵葛藤』において、この消息について「祖道の皮肉骨髄は、浅深にあらざるなり。たとひ見解に殊劣ありとも、祖道は得吾なるのみなり」と示されています。弟子四人の見解には殊劣があっても、祖道(仏祖の歩みし道程)とは得吾(自分が自分であること、他と比較しない在りよう)である故に、皮肉骨髄に元より浅深の評価をすること自体が誤りなのであります。達磨大使が四人の弟子を及第させた無底の眼光は、皮肉骨髄が総て人間で在ることにおいて不可欠の要素であることを見抜いていたのであります。
贅語 おいしいお茶
茶陶名人河村又次郎は語る。「茶碗は形でも、デザインでも見せられぬ。実際に見せるものは心以外に何もありません。所詮茶碗は、お茶がおいしく飲めればよい。ただそれだけの条件です。」
「ただそれだけ」が至難の芸だ。(竹林庵主)
欲惜春
津市の一月の気温は観測史上一番暖かかったそうです。二月になっても春を思わせる日が続きます。花の便りが半月も早く聞かれそうです。
31号をお届けします。余語顧問、竹林庵主に厚くお礼申し上げます。(河)
▼如愚如魯(にょぐにょろ)とは…
潜行密用 如愚如魯
(せんこうみつよう ぐのごとくろのごとし)
人間の価値は、他人の見ていないところでの行動で決まるという言葉です。
真に自己を見つめて生きている人は、他人の評価を気にしない。だが最近では、そのような人はほとんどいなく人の目ばかり気にして行動し、裏では何をしているか解らない人が多くなっています。しかし他人が見ていない所での行いにこそ、人間の真価は問われているのではないでしょうか?
ささやかな仕事、目立たぬ仕事にベストを尽くし、利益や名前・肩書きの為でなく、人間としてなすべき事を行動として現してほしいものです。
「潜行密用」 潜に目立たぬように行うこと
「如愚如魯」 愚者のように振る舞うこと
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