老人六歌仙 顧問 川口 高風(愛知県・法持寺住職 愛知学院大学教授)
仏崖和尚に「老人六歌仙」というものがある。
1. しわがよる、ほくろができる、腰がまがる、頭ははげる、髪は白くなる。
2. 手は震るう、足はよろめく、歯はぬける、耳は聞こえず、目はうとくなる。
3. 身に添うは頭巾、襟巻、杖、眼鏡、たんぽ温石、しびん、孫の手。
4. くどくなる、気短になる、愚痴になる、出しゃばりたがる、世話やきたがる。
5. 聞きたがる、死にともながる、淋しがる、心がひがむ、欲深くなる。
6. 同じ話のくりかえし、孫の自慢、達者自慢。
この六歌仙を聞くと何か自分のことを言われているような気がする。手も震え、足がよろめき歯も抜けたりもする。眼鏡を老眼鏡に代えないと字も読めない。つくづく年をとったなと思う。
中にはくどい年寄りもいる。話をきくのも嫌になるが、かといって聞いていないと怒り出す。また、気短になり、すぐ怒る。よく愚痴も言う。出しゃばってまくしたて、世話もやく。
仙崖和尚の生きた江戸時代も現代も人間が老いることに変わりは無い。現代にも通じる「老人六歌仙」。かく言う私も確実に「老人六歌仙」の域に入ってきたなと思いつつ、少しでも粋な年寄りにと願っている。
贅語 倉島 昌行(四天王寺 住職)
明治廃仏の頃である。日本の社会も大きく変わる文明開化の時代であった。二人の書生が憂いて語りながら、とある川岸に着いた。
数日来の増水で容易に川は渡れそうにない。傍の女性が渡れず困っているのを見るやいなや、一人の書生がひょいっと女性を担ぎ、そのままジャブジャブ入って行った。渡り終えて女性を下ろし、スタスタ歩いて行った。少し歩くと別の書生が追いついて問うた。「禅僧は戒律が厳しいのに貴兄はよくそれを破るな」「何だそかなことか、わしは先ほどの川岸に置いてきたよ。お前はまだあの女性を担いで居ったのか」原坦山若かりし頃の逸話である。
欲惜春
会報第四号です。今回は愛知県の川口住職の著書「志は老いず」から引用させていただきました。(河)
▼如愚如魯(にょぐにょろ)とは…
潜行密用 如愚如魯
(せんこうみつよう ぐのごとくろのごとし)
人間の価値は、他人の見ていないところでの行動で決まるという言葉です。
真に自己を見つめて生きている人は、他人の評価を気にしない。だが最近では、そのような人はほとんどいなく人の目ばかり気にして行動し、裏では何をしているか解らない人が多くなっています。しかし他人が見ていない所での行いにこそ、人間の真価は問われているのではないでしょうか?
ささやかな仕事、目立たぬ仕事にベストを尽くし、利益や名前・肩書きの為でなく、人間としてなすべき事を行動として現してほしいものです。
「潜行密用」 潜に目立たぬように行うこと
「如愚如魯」 愚者のように振る舞うこと
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